「初心忘れるべからず」の本来の意味、知ってますか?
こんばんは。 日本語の奥深さに感極まっている稲葉です。
初心忘れるべからず
「初心忘れるべからず」
この言葉を聞いたことがある人、そして意味を理解している人、こういう人って世の中にすごくたくさんいらっしゃると思います。
「初心忘れるべからず」は、始めたての頃の気持ちを忘れてはいけませんよ。という意味で使っている人が大半です。
このことは間違いではありませんし、そういう意味以外で使っている人をほとんど見かけません。
『今の時代は』ですが、、、。
「初心忘れるべからず」の『本来の』意味ってご存知でしょうか?
「初心忘れるべからず」の本来の意味
この、「初心忘れるべからず」という言葉は、室町時代に世阿弥が能で書いた句『花鏡』の中に出てくる一部を引用しているんですね。
しかれば当流に万能一徳の一句あり。
初心忘るべからず。
この句、三ヶ条の口伝あり。
是非とも初心忘るべからず。
時々の初心忘るべからず。
老後の初心忘るべからず。
この三、よくよく口伝すべし。
これが『花鏡』の句です。
初心
『初心』とは本来、始めた時の気持ちや志のことを指すのでは無く、『最初から物事が上手く進むことは無い』という、『未熟さ』のことを指し、『自分の理想通りの結果にはならない状態』を説いています。
駆け出しのころのみっともなさ、未熟さを折にふれて思い出すことにより、「あの頃の惨めな想いはもうしたくない!」と強く想うことで精進し、前進できるという教えなんですね。
自分の未熟だったころを忘れなければ、常に現状不満足で向上していくことができるということを学べます。
時々の初心を忘れるべからず
「時々の初心を忘るべからず」
この句からは、駆け出しの未熟者だった状態を突破し、そこから年老いていくまでの各段階で、年相応の知識や技術を学んで身につけた時のことを覚えておくことで、さまざまな状況に対応できる、幅広い応用ができるようになっていけるということを学べます。
老後の初心を忘れるべからず
最後に「老後の初心を忘るべからず」
年老いても学ぶことは絶えないことを指し、その時の初心を忘れること無く常に向上心を持って生きることの大切さを謳ってます。
『少年老い易く学成り難し』ってやつですね。
改めて、日本語って本当にすごいな〜と思います。
以上となります。 本日も最後まで御覧くださりまして、誠にありがとうございます。
稲葉 景