読書:孫子 第5章【将たる者の心得】

こんばんは。 稲葉です。

孫子を読み終えました。 最終章である第5章は、【将たる者の心得】ということで、リーダー論を学べるものでした。 リーダーとして組織を牽引していく人たちにとって必要なことがたくさん学べます。

今回は正直、全てが良過ぎたのですが、ここだけは外せないという考えをピックアップしました。

上下欲を同じくする者は勝つ。

目標達成のための条件の1つに、組織内での上下関係に関わらず、全員が同じ目的を持って取り組むということが挙げられます。 要は、徹底的なヴィジョン共有です。 そしてその掲げられたヴィジョンは、リーダーの私利私欲、名誉欲、もしくは派閥の利益が目的なのであってはならないことご大切なのです。 組織全体、社会全体、さらに言うと国家全体にとって有益である大義があってこそ、力を発揮します。 確固たるヴィジョンを仲間に与えられないリーダーには、目標達成はあり得ません。

これに令するに文を以ってし、これを斉うるに武を以ってす。

統率の取れた組織運営を可能とするためには、以下の3つの要素を使い分けることが大切なようです。

温情

兵士のやる気を引き出すことに役立つ。

教育

ひとりひとりの士気を高めることに役立つ。

軍律

統制を維持することに役立つ。

また、兵士をやる気にさせるには、立てた手柄に見合った報酬を与えるということがあります。 その為には、基準を明確に持つ必要があります。

そして、仲間のモチベーションを上げるには、相手が智者なのか勇者なのか、貧者なのか愚者なのか、これらを見極める必要がある。

智者

手柄を立てることに価値を感じている。

勇者

目標達成することに価値を感じている。

貧者

利益を得ることに価値を感じている。

愚者

自分の命を軽んじている。

各々の特性をしっかりと把握してコミュニケーションを取り、モチベーションを上げていくことが、リーダーとしての腕の見せどころになります。 そのためにも、人格と能力の両面を、普段の行いから見極める必要があります。

将とは、智、信、仁、勇、厳なり。

リーダーであるなら、以下の5条件を満たす必要があります。

勝算の有無を見極める。 現状把握能力、先見力が大切であるということですね。

約束を守る。

思いやりの心を持つ。

勇気、決断力を持つ。 何でもかんでも前進すれば良いということではなく、勝算無しと見極めた場合、躊躇わず撤退する勇気もリーダーには必要ということですね。

信賞必罰を持って仲間と関わることが大切ですね。 統率力を持った組織作りをする上で、「仁」と「厳」の使い分けのバランスが大切になってきます。

また、諸葛亮集では、リーダーの5条件として、以下のことを挙げています。

1、「弱い相手でも、嵩にかかって攻めたててはならない」

どんな相手でも敵情判断をする必要があるという意味です。

2、「味方の強大を頼んで、敵をなめてかかってはならない」

油断をすると、たちまち形勢逆転になりかねないので、相手をなめてはいけない。

3、「能力に鼻をかけて、人を見下してはならない」

周りの反発を買うし、部下にもそっぽを向かれることになります。

4、「上の者の籠を頼んで、尊大な態度をとってはならない」

仲間の心が離れていくことになり、嫌われてしまいます。

5、「万全の計画を立ててから動き、充分な勝算を得てから戦う」

慎重さが大切であるということです。

必死は殺さるべきなり、必勝は虜にさるべきなり。

リーダーとして躓きやすい要因に、「短期で怒りっぽいこと」、「清廉潔白にこだわること」、「思いやりを持ちすぎること」が挙げられる。 いずれも組織を壊滅に追い込む可能性を秘めているので注意する。 自分が必死になること以上に、仲間を必死にさせることがリーダーの仕事ということですね。

第5章【将たる者の心得】を読み終えて

いや〜、終わってしまいました。 それにしても古代中国思想は奥が深い。 特に最終章のリーダー論は現代でも活用しまくれる内容がてんこ盛りでした。

「人が歴史から学んだことは、人は歴史から学ばないということだ。」と言います。 であるならば、僕が歴史からしっかり学ぼうと思いました。